「添育(そういく)」を支える25の理論を巡る旅。
【技法編】の第4回目は、
「NVC(Nonviolent Communication:非暴力コミュニケーション)」です。
「暴力」なんて言葉、自分には関係ないと思っていませんか?
いえいえ、私たちは無意識のうちに、「言葉の暴力」を使ってしまっています。
- 「何度言ったらわかるの!(非難)」
- 「常識でしょ?(押し付け)」
- 「あなたが悪いんでしょ(ジャッジ)」
これらの言葉は、相手の心を閉ざし、対立を生みます。
これをNVCでは「ジャッカルの言葉」と呼びます。
対して、相手も自分も大切にする「キリンの言葉」があります。
今日は、対立を溶かし、本当のつながりを生む「キリンの言葉」の4つのステップを学びます。
観察(Observation):「事実」と「解釈」を分ける
最初のステップは、Vol.10の「エポケー」で学んだことの実践です。

私たちはつい、事実(何が起きたか)と、解釈(どう思ったか)を混ぜて話してしまいます。
- × ジャッカル(解釈): 「あなたはいつもだらしない!」
- 〇 キリン(観察): 「あなたは脱いだ服をソファに置いたままにしているね」
「だらしない」と言われた瞬間、相手は「攻撃された!」と感じて反発します。
しかし、「ソファに服がある」という事実は否定しようがありません。
まずはカメラのレンズのように、ありのままの「観察」だけを伝えることから始めます。
感情(Feeling):「考え」ではなく「心」を伝える
次に、その事実に対して自分がどう感じたかを伝えます。
ここでも注意が必要です。
「考え(Thought)」と「感情(Feeling)」を混同しないことです。
- × ジャッカル(考え): 「私は、あなたが無視していると感じる」(※これは「相手が無視した」という解釈であり、感情ではありません)
- 〇 キリン(感情): 「私は、返事がなくて悲しい」「寂しい」
「無視された」と言うと相手は「してないよ!」と反論しますが、
「悲しい」というあなたの感情は、あなただけの真実です。誰も否定できません。
弱さをさらけ出すことで、相手の共感を呼び起こします。
ニーズ(Need):感情の「根っこ」を見つける
ここがNVCの核心です。
すべてのネガティブな感情の裏には、「満たされていない大切な願い(ニーズ)」があります。
- 「イライラする」のは → 「秩序や協力が欲しいから」
- 「寂しい」のは → 「つながりや安心が欲しいから」
相手を責めるのではなく、
「私の中に、こういう願い(ニーズ)があるんだ」と自覚し、それを伝えます。
「部屋を片付けて!」という命令の裏には、
「私は、心地よく過ごしたいというニーズがある」という本音が隠れているのです。
リクエスト(Request):「強要」ではなく「提案」する
最後に、ニーズを満たすための具体的な行動をお願いします。
ポイントは、「No」と言える余地を残すこと。
もし「No」と言わせないなら、それはリクエストではなく「強要(命令)」です。
- × ジャッカル(強要): 「今すぐ片付けなさい!」
- 〇 キリン(リクエスト): 「みんなが心地よく過ごせるように(ニーズ)、夕飯までに服をハンガーにかけてもらえるかな?」
具体的で、かつ相手にも選択権がある提案。
これなら、相手は「やらされる」のではなく、「協力する」という主体的な選択ができます。
まとめ:キリンになろう
- 観察: 「○○という事実がある」
- 感情: 「それを見て、私は○○と感じた」
- ニーズ: 「なぜなら、私には○○という願いがあるから」
- リクエスト: 「だから、○○してくれない?」
この構文(OFNRモデル)を使うだけで、会話の質が劇的に変わります。
相手を「打ち負かす」のではなく、お互いのニーズを満たす「ダンス」をする。
それがNVCの目指す世界です。
次回、Vol.15は「リフレーミング」
物事の枠組みを変え、短所を長所に変える「言葉の魔術」について解説します。
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