【添育理論Vol.14・技法編4】敵を作らず、心をつなぐ魔法の言語。「NVC(非暴力コミュニケーション)」

添育(そういく/Soiku)

 

「添育(そういく)」を支える25の理論を巡る旅。

 

【技法編】の第4回目は、

「NVC(Nonviolent Communication:非暴力コミュニケーション)」です。

 

「暴力」なんて言葉、自分には関係ないと思っていませんか?

 

いえいえ、私たちは無意識のうちに、「言葉の暴力」を使ってしまっています。

 

  • 「何度言ったらわかるの!(非難)」
  • 「常識でしょ?(押し付け)」
  • 「あなたが悪いんでしょ(ジャッジ)」

 

これらの言葉は、相手の心を閉ざし、対立を生みます。

これをNVCでは「ジャッカルの言葉」と呼びます。

 

対して、相手も自分も大切にする「キリンの言葉」があります。

 

今日は、対立を溶かし、本当のつながりを生む「キリンの言葉」の4つのステップを学びます。

 

観察(Observation):「事実」と「解釈」を分ける

 

最初のステップは、Vol.10の「エポケー」で学んだことの実践です。

【添育理論Vol.10・哲学編5】「わかったつもり」を捨てる勇気。判断を保留する態度「エポケー」
「添育(そういく)」を支える25の理論を巡る旅。【哲学編】の最終回です。前回、難解な「オートポイエーシス」で、「他者をコントロールすることはできないし、完全に理解することもできない」という、冷厳な事実を突きつけられました。では、私たちはどう...

 

私たちはつい、事実(何が起きたか)と、解釈(どう思ったか)を混ぜて話してしまいます。

 

  • × ジャッカル(解釈): 「あなたはいつもだらしない!」

 

  • 〇 キリン(観察): 「あなたは脱いだ服をソファに置いたままにしているね」

 

「だらしない」と言われた瞬間、相手は「攻撃された!」と感じて反発します。

しかし、「ソファに服がある」という事実は否定しようがありません。

 

まずはカメラのレンズのように、ありのままの「観察」だけを伝えることから始めます。

 

感情(Feeling):「考え」ではなく「心」を伝える

 

次に、その事実に対して自分がどう感じたかを伝えます。

 

ここでも注意が必要です。

「考え(Thought)」と「感情(Feeling)」を混同しないことです。

 

  • × ジャッカル(考え): 「私は、あなたが無視していると感じる」(※これは「相手が無視した」という解釈であり、感情ではありません)

 

  • 〇 キリン(感情): 「私は、返事がなくて悲しい」「寂しい

 

「無視された」と言うと相手は「してないよ!」と反論しますが、

「悲しい」というあなたの感情は、あなただけの真実です。誰も否定できません。

 

弱さをさらけ出すことで、相手の共感を呼び起こします。

 

ニーズ(Need):感情の「根っこ」を見つける

 

ここがNVCの核心です。

 

すべてのネガティブな感情の裏には、「満たされていない大切な願い(ニーズ)」があります。

 

  • 「イライラする」のは → 「秩序協力が欲しいから」
  • 「寂しい」のは → 「つながり安心が欲しいから」

 

相手を責めるのではなく、

「私の中に、こういう願い(ニーズ)があるんだ」と自覚し、それを伝えます。

 

「部屋を片付けて!」という命令の裏には、

「私は、心地よく過ごしたいというニーズがある」という本音が隠れているのです。

 

 リクエスト(Request):「強要」ではなく「提案」する

 

最後に、ニーズを満たすための具体的な行動をお願いします。

 

ポイントは、「No」と言える余地を残すこと

もし「No」と言わせないなら、それはリクエストではなく「強要(命令)」です。

 

  • × ジャッカル(強要): 「今すぐ片付けなさい!」

 

  • 〇 キリン(リクエスト): 「みんなが心地よく過ごせるように(ニーズ)、夕飯までに服をハンガーにかけてもらえるかな?

 

具体的で、かつ相手にも選択権がある提案。

これなら、相手は「やらされる」のではなく、「協力する」という主体的な選択ができます。

 

まとめ:キリンになろう

 

  1. 観察: 「○○という事実がある」
  2. 感情: 「それを見て、私は○○と感じた」
  3. ニーズ: 「なぜなら、私には○○という願いがあるから」
  4. リクエスト: 「だから、○○してくれない?」

 

この構文(OFNRモデル)を使うだけで、会話の質が劇的に変わります。

 

相手を「打ち負かす」のではなく、お互いのニーズを満たす「ダンス」をする。

それがNVCの目指す世界です。

 


 

次回、Vol.15は「リフレーミング」

 

物事の枠組みを変え、短所を長所に変える「言葉の魔術」について解説します。

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